釣り人Poem現代歌心
小渓流の釣り人の気持を綴る......
しかし、いつの間にか誰にでもある心のシチュエーションでもあった、
そして、これらは人生の比喩でもあるのかのようだ....
Yellow作品集
戦意喪失
真夏日に 弱気な毛鉤 水面で 佇む姿 獲物を忘れる
雨上がりに丹沢岩魚
人知れず あがった雨は 時知らず 気づいて出かけ 岩魚と遊ぶ
釣り人優柔不断
遠い友 釣り行く知らせ 我が心 揺れる想いに 雨雲架かる
思い出
夢の中 そぞろ歩くは 日向道 いつか訪れ 見た君の顔
虹と釣り人
雨上がり 忘れられぬは あの渓流（ながれ） 虹を超えるは 釣り人たちか
危険な旅
山風が 騒げば雨の 合図とは 想っていても 渓に佇む
青い空、黒い影
岩陰に 走り来る影 真夏の日 果て無き空が 蒼く拡がる
無情の悲しみ
水面に 渇いたネット 映し出す 道のり遠く 燃える太陽
熱い胸騒ぎ
熱くなる 胸騒ぎでも そよ風で 過ぎ行くままに 毛鉤を流す
リリース
手のひらを こぼれる君の 美しい 姿は舞って 流れて還る
渓魚恋愛
山道を 叶わぬ恋と 知って去る 心せつなく 夕日を浴びて
水面（みなも）のステージ２
シルエット 移した姿 震えても 水面のステージ 君は気づかず
てんから風まかせ
秋の渓 白樺揺れる 追い風に 毛ばりのせれば アマゴ弾ける
水面下の秋
枯葉舞う 耳を澄ませば 聞えるか 渓魚の声 秋を知らせる
ブルーな谷間
逢いに来て 妄想（ゆめ）のなかでも 涙枯れ 漫ろ歩くは 幻の谷
虹色の雨上がり
雨上がり もう一度だけ しびれたい 虹のかなたへ 連れて行ってよ
幻の掟
時はるか 渓に生まれて 幻の 運命（さだめ）に棲むは 岩魚の不思議
渓魚の胸騒ぎ
山からの 風が騒げば 渓魚たち 不吉な合図 流れに映す
想い出は幻
夏は往き 永久（とは）より長い ため息は 過去へと続く アマゴの扉
河津桜
早咲きの 河津桜も 菜の花も 解禁際の 釣り人笑う
夕日の書初め
もえる木々 火事をも想う 元旦の 夕日の海が 我が家を初める
哀愁の禁漁
秋口に 季節（とき）の終わりと 脅されて 釣り人思う 夢釣行
てんからの哀れ
これまでと おもってみても 進みたい 迷ってすべって 転んで終わる
真昼の山里
山里は 人気も失せて ただひとり 佇む人家 奔る渓流
てんから釣り
てんからは 風が舞うとき ラインが奔る 毛鉤が追うか あまごが追うか
止まない夏日
もう秋と 思って渓流 訪れて 真夏の太陽 なごりの日差し
じゃれる兵
水面で 遊ぶ毛鉤に 妖しくも じゃれるあまごは つわもの揃い
釣行回帰
再会の 機会（とき）を求めて 繰り返し イメージつくり キャスティング
渓流物語
都会では 芯（こころ）のひだが 洗えない せつない胸を 癒すは渓流（ながれ）
早春遡行
早春の 冬枯れ林 渓流を 魚を起こし 歩いて上がる
ミスコミュニケーション
釣り人が 春と誘うが 未だ冬と 魚は深場 毛鉤は水面（みなも）
桜山女
晩春の 山の桜が 花びらを 水に落とせば 山女が跳ねる
桜の継承
春待たず 河津の桜 本番の 桜が散れば 山桜萌
早春渓路
早春の 渓流（ながれ）の路は 山椿 真紅に魅せて 落ちて流れる
魚彩還流
山の渓 春のアマゴは 愛しくて 捕らえて撮って 跳ねては帰る
小春便り
釣行と 微かな便り 遠方の 釣り友釣れば 春の証か
解禁釣行
懐かしい 林に渓流（ながれ） 来てみれば 岩陰踏んで 毛鉤を落とす
釣友北国釣行
北の国 友が行けども 名残雪 想いはせるは 目覚める岩魚
我が家
いだ
都会から 時空を越えて 地平線 浮かぶ富士山 我が家を抱く
水面のステージ１
輝いた 水のステージ 見つめても 光の中で 季節は流れ
釣友
お互いが ためらいがちに 歩いても 流れの中で 果てなき夢か
行く谷来る谷
と わ
どこまでも 永久の水面（みなも）に 振り向けど 二度と戻らぬ 君のいる谷
めぐる時節（とき）
春の日が 逃げるほどにも めぐる時節 夢見る暇も 無きまま一人
釣人の幻
いつか見た 冬の幻 心地よく 春に目覚めて 過ぎ行く記憶
釣れない旅
何もかも 流れの音が かき消せど 心の旅は 果て無き世界
釣れない谷
あの谷で 逢えない運命（さだめ） 涙色 心傷つき 旅は続く
奇跡の谷
「谷を行く 奇跡を待つは 釣り人か 風と渓流（ながれ）に 乗せては還す」 yellow 2007年4月30
冬の想い出
「捨てに行く 冬の想い出 もう春と 気づいて涙 星を滲ます」 yellow 2007年4月30
めぐる時節（とき）
「この胸に すてきな夢が めぐる時節 叶える旅路 吹く南風」 yellow 2007年4月30
夢の谷間
「長い路 夢の谷間で 溺れたい 戸惑う気持ち 春の運命（さだめ）か」 yellow 2007年4月30
萌える山桜
「山桜 里の桜が 散る頃に 蕾が萌えて はじけて魅せる」 yellow 2007年4月30
幻の夏
「夏の夢 春に想うは 早すぎて ぬくもりだけが 幻の中」 yellow 2007年4月30
恋の彩り
「恋の花 山の桜が 彩るも 小さく淡く 愛しく浮かぶ」 yellow 2007年4月30
桜散る
「花びらを 風に乗せるは 桜の木 揺れて葉桜 季節は流れ」 yellow 2007年4月30
夕ぐれ天使
「茜空 麓の流れ 竿振れば 毛鉤が踊る 天子来るかな」 yellow 2007年1月2日
白銀の賛歌
「北は富士 南は箱根 駿河湾 滑るは裾野 天空に舞う」 yellow 2007年1月3日
釣り待ち人
「渓流に 落ち葉舞い降り 人失せて 何時また集う 釣り人たちか」yellow 2007年1月4日
四季再訪
「山の家 木枯らし吹けど 尋ねれば 枯れ木がつつむ 子鹿の迷い」 yellow 2007年1月4日
渓流遡行
「渓流に 足元とらえ 戯れて 歩めど阻む 岩魚の棲み処」yellow 2007年1月5日
釣り人知らず
「白泡に 浮いては沈む 鉤（ハリ）の影 澄んだ流れに 走る魚影」yellow 2007年1月5日
釣りの友
「釣りの友 釣れば釣りたし 我が竿も 逸る気持ちに 魚は失せる」 yellow 2007年1月6日
春の岩魚
「早春の 春と思しき 渓流は 未だ凍える 手を曳く岩魚」 yellow 2007年1月6日
白昼の山女
「光降る 水面（みなも）に山女 尾びれ打つ 輝く姿 真昼の夢か」 yellow 2007年1月6日
金色の裾野
「すすき野も 広くなびけば 金の波 寄せては返し 野鳥の波乗り」
yellow 2007年1月7日
夕まず目
「日が落ちて 見えては消える 闇の中 光る気配に 大物と知る」 yellow 2007年1月7日
アマゴの失意
「走り来る 水面（みなも）の毛鉤 跳ぶアマゴ 帰る姿に 期待をのせて」
yellow 2007年1月7日
吼える熊鈴
「明け方の 沢への路は ただ一人 行けども深い 熊鈴振りて」 yellow 2007年1月8日
釣り強行
「夏の渓 釣れぬ日和は 灼熱の 暑さ過ぎれば 秋の荒食い」
yellow 2007年1月8日
アムステルダムの風景
「駅からの カナルが映す シルエット 修（なお）して使う 古き町並み」 yellow 2007年1月21日
和蘭小町
「和蘭の 街角深く 分け入れば 嵐の中で 美女が風切る」 yellow 2007年1月21日
ダッジな自転車
「小雨降る 田舎の町の 石畳 気にも留めずに 走る自転車」 yellow 2007年1月21日
寄道釣行
「照りつける 日差しを避けて 細き渓 毛鉤を置けば 泣き尺岩魚」 yellow 2007年２月2日
上流の宝石
「竿尻に 寄せては遊ぶ 宝石が 弾けて落ちて 未だ佇む」 yellow 2007年２月2日
戸惑う釣り師
「魚居ず 諦め顔の 足元に 魚影が走る 小渓流」 yellow 2007年２月2日
別世界
「早春の 陽だまり見つけ 覗いても 我冠せずの アマゴの子供」 yellow 2007年２月2日
渓流願望
「客人が 帰った後は 山に出て 日柄一日 毛鉤で遊ぶ」 yellow 2007年２月2日
冬の南富士
「白き富士 南の顔は 宝永の うねる山肌 山麓走る」 yellow 2007年２月3日
太陽の落し物
「太陽に 輝く山女 手元から こぼれて落ちて 水面（みなも）で揺れる」 yellow 2007年２月７日
雪なき山麓
「幾たびも 白き化粧を 重ねれど 2月の富士は 山肌残す」 yellow 2007年２月７日
冬釣行
「冬の渓 日向を求め 釣り歩く 岩陰深く イワナを探る」 yellow 2007年２月１６日
風と共に釣行
「風止んで 流れに毛鉤 留まれば 流下でざわめく 渓魚の群れ」 yellow 2007年２月１６
風と共に釣れぬ
「向かい風 竿を振れども 力なく 飛んだ毛鉤は むなしく走る」 yellow 2007年２月１６
春の戸惑い
「長い冬 我が物顔の 渓魚たち 釣り人忘れ 春に戸惑う」 yellow 2007年３月15
釣り師の想い
「長い冬 待てど暮らせど 春までは アマゴを想い 毛鉤を飾る」 yellow 2007年３月15
めぐる湧き水
「長い冬 季節変われど 懇々と 富士の湧き水 変わる術（すべ）なし」 yellow 2007年３月15月１６
山女の憂鬱
「春が来て 山女を起こす 釣り人の 煽（あお）る竿先 谷を切り裂く」 yellow 2007年３月15